2016年4月に電力自由化が、2017年4月には都市ガスの自由化もスタート。
電気とガスをまとめて契約することも、当たり前になっています。
既に1999年に自由化がスタートしているイギリスの事例などから、都市ガス自由化と電気の関係を見てみましょう。
目次
ガスと電気、ともに自由化されているイギリス
電力自由化はもちろん、ガスの自由化も以前から始まっていたイギリス。
イギリスの電力自由化やガスの自由化は、どのように進んできたのでしょうか。
イギリスの電力自由化
イギリスの電力自由化は、1990年にスタートしました。
最初は工場などの大口需要家から始まり、最終的に家庭向けを含めた全面自由化は1999年に行われました。
この流れは日本も同じです。
自由化前のイギリスでは、国営の電力事業者1社が電力事業を独占。
しかし割高な国産石炭を利用したり、発電施設を必要以上に建設したりと、高コストな経営が続いていました。
その結果イギリスでは電気料金も割高に。
このような状況を打破しようと、電力自由化に踏み切ったのです。
イギリスでは電力事業を独占していた国営の電力事業者を、発電・送配電・小売部門の3部門16社に分割。
その他にも50社ほどの小売事業者が新規参入しました。
現在は外資系も含めた、Big6と呼ばれる6社が電力市場全体の95%ものシェアを占めています。
イギリスのガス自由化
一方のガスについては、電力自由化よりも先にスタートしていました。
ガスの自由化が始まったのは、1982年。
電力自由化の8年前です。
開始直後は、工場など年間の使用量が470万km3を超える大口需要家が自由化の対象でした。
その後、段階的な自由化や価格規制の撤廃などを経て、2002年には家庭も含めた完全自由化となりました。
イギリスにおけるガス事業では、ブリティッシュガスという事業者が大きなシェアを占めています。
料金プランも、ガスのみ、ガス+電気のセット料金、1〜2年程度の固定料金制など様々なものがあります。
新規参入した企業でも、支払いの上限を設定したプランやオンライン申し込みで割引になるプラン、電気・水道とのセット販売、高齢者向け割引プランなど、豊富なプランを提供しています。
電気とガスを同時に契約するのが一般的なイギリス
ガスも電気も自由化されているイギリスですが、ガスと電気を一本化して契約している家庭が多いという特徴があります。
少し前のデータですが、2012年には67%の家庭がガスと電気を一括契約しています。
一括契約している需要家が多いということは、電気とガスをセット販売している事業者が多いということ。
電力で「Big6と呼ばれる6社が電力市場の95%を占めている」状況ですが、Big6は電気だけでなく、ガス事業も行っているんですね。
電気とガスをまとめて契約することで、年間3~5万円もお得になるという実績も出ています。
日本でも2017年4月から都市ガス自由化
ここまでイギリスの事例を見てきましたが、日本でも2017年4月から都市ガスの自由化がスタート。
LPガスを利用している人にとってはあまりピンとこない話かもしれませんが、都市ガスも電気同様、地域によって契約できるガス会社が決まっていました。
関東圏ならば東京ガス、関西圏であれば大阪ガスといった感じです。
これが2017年4月からは好きなガス会社と契約できるようになったわけです。
2016年の電力自由化、2017年の都市ガス自由化と自由化が相次ぐエネルギー業界ですが、その中でも注目度が高い企業といえば、東京ガスではないでしょうか。
都市ガス業界でのシェア40%! 電力販売も好調の東京ガス
東京ガスは首都圏を中心としたエリアに都市ガスを供給。
顧客数(取付メーター数)は1,100万件以上、都市ガス業界で40%ものシェアを持つガス業界ではトップの企業です。
東京ガスでは電力自由化にともない、電気の販売もスタート。
東京ガスの電力事業はとても好調で、2018年8月には契約件数130万件を突破しました。
電力契約件数が順調に伸びている背景には、東京ガスの魅力的な料金プランやサービスがあります。
例えば、ガスと電気のセット割。
ガスと電気をセットで契約すると、ガスの基本料金が毎月270円割引になります。
これだけで年間3,000円以上もお得になる計算です。さらに、ガス・電気・インターネットを組み合わせたトリプル割も提供しています。
トリプル割について詳しくはこちら
⇒新電力のトリプル割は3倍お得! 乗り換えるなら知らないと損!
このほか、暮らしのちょっとしたトラブルを解決してくれる駆けつけサービスや、ガスを使ったホームエネルギーシステムである「エネファーム」の契約で、東京ガス独自のパッチョポイントが毎月もらえるキャンペーンなども。
東京ガスユーザーだけが利用できる会員制WEBサービス「myTOKYOGAS」の内容も充実しています。
東京ガスの電気について詳しくはこちら
⇒東京ガスの電気とは
ガス自由化では形勢逆転もあり得る!?
このように順調に電力契約を伸ばしている東京ガスですが、都市ガス自由化では顧客を奪われる立場に。
これから都市ガス業界に新規参入する企業は、東京ガス以上に魅力的な料金プランやサービスを提供することが十分考えられます。
実際のところ、ガスの輸入の7割はガス会社ではなく電力会社によるもの。
ガスは火力発電の燃料として利用されているためです。
このようにガスを大量に輸入・保有している電力会社は、高効率で都市ガスを提供することも可能。
電気とガスをセットにして、より割安なプランを提供する可能性が高いのです。
ガス+電気のセット契約者数を増やせるかが、都市ガス自由化で生き残るためのカギになるかもしれません。
LPガス業界でもガス+電気をセット販売
既に自由化されているLPガス業界でも、ガスと電気をセットにして販売しているところがあります。
LPガスは事業者の規模も供給エリアの範囲も大小様々。そのため、東京ガスなどの都市ガス業者のように、表立って話題に上ることはそう多くはありません。
しかし、既存の顧客を中心にガス+電気の契約数を伸ばしている企業も。例えば、(株)サイサンでは、契約件数が10万件を突破しています。
詳しくはこちらを参考に
⇒ガス会社が提供する「エネワンでんき」ってどんなもの?
電気とガスの一括契約は一般的になる
電力自由化で、電力業界にガス事業者が新しく参入しました。
都市ガス自由化ではその逆で、都市ガス業界に電力事業者が参入します。
今はまだ、電気とガスを一括で契約するというのは、「ちょっと特別なこと」という感じかもしれませんが、これからは当たり前のことになるでしょう。
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