電力自由化とトラブルのイメージ
電力自由化がスタートし、多くの会社が電気の販売を始めました。電気代が安くなるなどのメリットがある一方で、これに便乗した詐欺やトラブルも。電力自由化によるトラブルに巻き込まれないために、私たちはどういった点に注意すればいいのでしょうか。

トラブルに遭わないために知っておきたい6つのポイント

電力自由化により、自分たちで電力会社を自由に選べるようになりました。それと同時に気を付けたいのが、電力自由化にまつわる様々なトラブルです。こういったトラブルは、どこに注意すればいいかが分かっていれば、防ぐことも可能。

これから電力会社の乗り換えようと考えている人も、既に乗り換えた人も、トラブルに遭わないために知っておきたいポイントを押さえておきましょう。

① 正規の事業者かどうか

電気の販売ができるのは、国の登録を受けた小売電気事業者のみ。これには小売電気事業者の代理店も含まれます。もしあなたが、電話勧誘や訪問販売、郵送などによる電力販売の営業を受けて怪しいと感じた場合は、その企業が正規事業者かどうかを確認してみましょう。

きちんと登録を受けた事業者かどうかは、資源エネルギー庁のホームページで確認可能。2016年7月4日時点で、313社が登録されています。

登録している事業者なのに違法な営業をしていた場合は、下記の相談窓口に相談してみて下さい。

電力・ガス取引監視等委員会 相談窓口
電話03-3501-5725
(受付時間9:30〜12:00、13:00〜18:30)
e-mail:dentori@meti.go.jp

② 電気料金は自分の使い方で考える

電力会社を乗り換えるメリットの一つに、電気料金を抑えられることが挙げられます。各電力会社も料金の安さはアピールしていますし、実際に、電気料金が安くなるから乗り換えるという人も多いことでしょう。

電気料金で要注意なのが「必ずしも全ての電気料金が安くなるわけではない」ということ。

特に次のような人は、逆に電気料金が高くなる事も多いのです。

【特に電気料金が高くなる可能性が高い人】

  • 契約アンペアが30A以下
  • 電気使用量が少ない
  • オール電化

各社が発表している料金プランを検討する際は、あなた自身の電気使用量を基準にシミュレーションすることが大切です。

③ セット割の内容はよく確認する

電力自由化がスタートしてセット割という言葉をよく耳にするようになりました。

セット割には例えば次のようなものがあります。

  • 携帯電話の料金
  • ガス料金
  • インターネット回線(光回線)
  • ガソリン料金

これらセット割は本当にお得なもの多いのですが、中にはこのセット割に縛られてもっとお得なサービスに乗り換えられないというケースも。

セット割を利用する際は、電気以外のサービスが自分にとって本当にお得になるのか、また長期間利用する予定かどうかなど、しっかり確認しましょう。

トリプル割りなどセット割が増えるほどお得ですが、他のサービスへの乗り換えが難しくなります。

④ 途中解約が可能か、違約金が発生するかどうか

お得な面ばかりに気を取られて、ついつい見落としがちなのが最低契約期間や解約金の有無です。

電力会社の中には、契約期間に関わらず解約金が発生しないところもあります。その一方で一定の契約期間内に解約した場合は解約金や違約金が発生するところも。

金額も500円前後のところから1万円近いところまで会社によって様々です。同じ会社でもプランによって解約金(違約金)の金額が異なる場合もあります。

また転勤などで予定外に転居することもあるでしょう。電力会社の供給エリア内での転居であればそのまま利用できますが、エリア外への転居もあり得ます。エリア外への転居の場合は、解約金(違約金)の支払いが免除になる会社もあります。

どんな場合にいくらくらいの解約金(違約金)が発生するのか、その条件は事前にしっかり確認しておきましょう。

違約金について詳しくはこちら
電力会社の乗り換え、申込や解約に費用はかかる?

⑤ 設備に関するトラブルに注意

設備に関するトラブルにも注意が必要です。具体的には、次の2点があります。

⑤−1 電線を引き込む必要はなし

もしあなたが、電力会社からの営業で「電線を新しく引き込む必要がある」なんてことを言われたら、要注意! なぜなら、電力会社を変えたからと言って、電線を新しく引き込む必要はないからです。

これまで利用していた設備をそのまま利用して、あなたの家庭まで電気は届けられます。

⑤−2 スマートメーターは無料

新電力に乗り換えると、スマートメーターへの交換作業が発生しますが、スマートメーターへの交換は原則無料で行われます。

もし電力会社の営業マンから
「スマートメーターへの交換料金を割引します」
「スマートメータを特別に無料にします」
なんてセリフが出たときは、注意してください。その営業マンが「全く分かっていない」か「悪意を持っている」かのどちらかです。新電力の会社はきちん認可された会社ですが、営業代理店の中にはもしかしたら良くない人が紛れている可能性もあるかもしれません。

ちなみに最終的には全ての家庭のメーターがスマートメーターに変わる予定となっています。

ただこれらの設備の設置状況によっては、工事費用が発生することも。例えば私たち消費者側の都合でメーターの設置場所を変えたりすると、費用がかかることもあります。

⑤−3 便乗商法に注意

一番要注意なのはこれです。

電力自由化によって何かしらの新たな設備を購入する必要はありません。また電力自由化と太陽光発電にも関係はありません。

「今、太陽光発電パネルを設置するとお得なので、購入しませんか」
「電力自由化で工事が必要になりました。〇〇円かかります。」
なんて言われたら、電力自由化に便乗した訪問販売詐欺の可能性大。

電力自由化関係で何らかの設備の購入を求められた場合は気を付けてください。

⑥ クーリング・オフも可能

電力会社からの訪問販売や電話勧誘によって申込んだ場合、8日以内であればクーリング・オフができます。これは、法定書面を受け取った日から起算して8日以内であればOK。営業担当者の勢いに負けて契約してしまった場合などでも、この制度を利用して解約することができます。

ただしインターネットや店頭で申し込んだ場合は、クーリング・オフ制度の対象外です。

トラブルに遭ったら相談を

電力自由化に関することに限らず、誰にでもトラブルに巻き込まれる可能性はあります。特に一人暮らしの高齢者などは狙われやすいといわれます。

あなたの大切な人を守るためにも正しい知識を身に付けておくことがトラブル回避には欠かせません。

トラブルを避けるコツは、その場でお金を払ったり契約したりせず、まずは名刺などをもらってその業者のことをきちんと調べること。しっかり確認したうえで、納得してから契約するようにしましょう。

それでもトラブルに遭ってしまった場合は、お住まいの自治体の消費生活センターや、消費者ホットライン188(いやや)で相談を受け付けています。少しでもおかしいな、と感じたときは、遠慮せずに相談しましょう。

新電力の選び方はこちらを参考に
【決定版】新電力の選び方