オール電化は電気使用量が多いため、電力自由化によって電気代を安くすることができるのではないかと期待する方も多いようです。
電力自由化でオール電化の電気料金はどうなるのでしょうか。
目次
オール電化住宅は旧電力会社内で比較
東京電力や関西電力などいわゆる旧電力会社は、以前からオール電化住宅向けのプランがあり、電力自由化後も引き続きプランを提供しています。
一方電力自由化後に参入した新電力では、オール電化住宅向けのプランを発表しているところはほとんどありません。
オール電化住宅普及の背景には原発があり、原発を持っているのは地域電力会社のみ。そのため新電力ではオール電化住宅のメリットが活かせないという背景があるためです。
つまり現時点では、各地域電力会社が発表しているプランがオール電化住宅にとって一番オススメのプラン。
地域電力会社のプランでも、従来プラン(東電なら「電化上手」)と新プラン(東電なら「スマートライフプラン」)の2種類があるので、比較してみると人によって新プランがお得な場合もあります。
オール電化も新電力がお得になる場合もある
ただしオール電化住宅でも新電力にした方がお得になる場合も。それは、エコキュートなどを利用していない場合や、昼間にたくさんの電気を使っている場合、ガソリンや携帯代などのセット割を利用したい場合です。
オール電化住宅向けの料金プランは、その特性から夜間の電気料金は安く、昼間の料金は高く設定されています。もしあなたが、夜間より昼間に多く電気を使っているなら、新電力を利用することで電気代が安くなる可能性も。まずは検針票に記載してある料金内訳を確認してみましょう。
また新電力の中にはガソリンや携帯代などとのセット割を提供しているところも。単純に電気代だけを見るのではなく、生活全体として考えると乗り換えた方が安くなる可能性もあります。
新電力では電気代だけでなくセット割も上手く利用しましょう。セット割がお得な理由と、あなたが得をするセット割を解説します。
いまさら聞けないオール電化住宅
そもそもオール電化の特徴とは何でしょうか。
オール電化住宅では、調理、空調、給湯などのすべてを電気で賄っています。オール電化特有の設備が必要になりますが、光熱費については電気代のみ。電力会社もオール電化住宅向けにお得な料金プランをつくっていました。
実際、ガスを利用している家庭に比べて、オール電化住宅の光熱費は3割程度安くなっていました。
背景に原発が
電力会社がオール電化住宅を普及させた背景にあったのが原子力発電所。原子力発電所はほかの発電方法と違い、発電を始めると発電量の制御が難しいため、昼も夜もフル稼働しています。
しかし昼と夜では使用される電力量が変わります。休んでいる人が多い深夜は発電量に対して使用量が少なく、電気が無駄になってしまいます。この深夜の余剰電力を利用するために普及させたのがオール電化住宅だったのです。
実際エコキュートといった給湯設備などは、深夜の安い電気を利用して動いています。
従来のプラン(東京電力の例)
オール電化向けの従来プランとして東京電力の「電化上手」というプランを見てみます。
料金(税込) | |||
基本料金 | 契約容量 | 6kVA以下の場合 | 1,296円00銭 |
7kVA~ 10kVAの場合 | 2,160円00銭 | ||
11kVA以上の場合 | 2,160円00銭 + 280円80銭 ×(契約容量 -10kVA) |
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電力量料金 (1kWhあたり) | 昼間時間 | 夏季 | 38円63銭 |
その他季 | 31円64銭 | ||
朝晩時間 | 25円92銭 | ||
夜間時間 | 12円16銭 | ||
割引額 | 通電制御型 夜間蓄熱式 機器を使用 の場合は、 機器の総容量 1kVA につき 151円20銭割引 |
季節区分 | 夏季 | 毎年7月1日から 9月30日 |
その他季 | 毎年10月1日から 翌年6月30日 |
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時間帯区分 | 昼間時間 | 毎日午前10時から 午後5時まで |
朝晩時間 | 毎日午前7時から 午前10時までと 毎日午後5時から 午後11時まで |
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夜間時間 | 毎日午後11時から 翌朝の午前7時まで |
電化上手プランでは、電気料金を季節ごと・時間帯ごとに分けて設定していました。電気料金が最も高い夏季昼間は、最も安い夜間の料金のおよそ3倍。 そのため電気代が最も高くなる昼間にはなるべく電気を使わないことが、電気代を抑えるためのコツと言えます。
具体的に電気代を抑えるためには、
- 食器洗い乾燥機や洗濯機などタイマー機能を活用して夜間帯に動かす。
- エコキュートなど、夜間電力を利用する機器を使う。
などといった方法があります。
ちなみに電力自由化スタート後、「電化上手プラン」は新しく申込むことができなくなりました。以前からこのプランを利用している場合のみ、継続して利用可能です。
ではこれからオール電化を検討している場合は、どんなプランを選べばいいのでしょうか。
新プラン(東京電力の例)
これまでの「電化上手」に変わるプランとして、東京電力では「スマートライフプラン」というプランを発表しています。電化上手とはどのような点が違うのでしょうか。
時間帯区分が3つから2つに
「電化上手」では、時間帯を3つに分けて料金を設定していましたが、「スマートライフプラン」では2つに変更。電化上手に比べてシンプルな時間帯設定で、分かりやすくなりました。
時間帯区分 | 昼間時間 | 毎日午前6時から 翌日の午前1時まで |
夜間時間 | 毎日午前1時から 午前6時まで |
料金も変更に
時間帯だけでなく、料金も変わりました。夜間の電気料金は上がりましたが、それ以外の時間帯については安くなっています。
料金(税込) | ||
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基本料金 | 契約電力1kWhあたり | 450円00銭 |
電力量料金 | 昼間時間 | 25円33銭 |
夜間時間 | 17円46銭 |
一番の変更点はスマート契約になったこと
時間帯区分や電気料金も変わりましたが、一番の変更点はスマート契約になったことと言えるでしょう。これまでになかった概念なので、よく分からない人も多いかもしれません。
これまで、電気料金における基本料金は、契約容量によって固定の金額となっていました。
普段電気をあまり使わない(ブレーカーが落ちることがない)場合でも、契約容量が大きければ基本料金は高額に。反対に、契約容量が小さい場合は基本料金は安価ですが、電化製品の使い方によってはしょっちゅうブレーカーが落ちて、不便に感じていた人もいるかもしれません。
スマート契約では30分ごとに電気の平均使用量を計測、その値によって契約電力量が決まります。過去1年間(その月と過去11か月間)の使用電力量のうち、最もたくさん使ったときの数値が契約電力量に。そのため、うっかり使いすぎるとその後1年間は基本料金が高くなってしまいます。
逆に、電化製品を上手に利用することで、基本料金を安くすることも可能。電気の使い方が基本料金に直結する、それがスマート契約です。
こちらも参考に
⇒東京電力のスマート契約ってどんなもの?
契約者に嬉しい特典も
「スマートライフプラン」には、契約者に嬉しい特典も。
まず、住宅設備修理サービスがついています。これは、IHクッキングヒーターやエコキュートなど、オール電化住宅特有の設備について、何度でも修理OKというもの。保証期間は設置から10年ですが、24時間365日いつでも受け付けています。
また、これまでなかったポイントサービスもスタート。ポイントはTポイントまたはPontaのいずれかで、電気料金1,000円(税抜)につき5ポイント貯まります。毎月発生する電気代なので、コンスタントにポイントを貯めることができますね。
詳しくはこちらも参考に⇒東京電力のスマート契約ってどんなもの?