電力自由化の話題の中で耳にすることもある「バランシング・グループ」という考え方。

電気料金を安くするための仕組みともいえる、バランシング・グループの内容を詳しく見てみましょう。

新電力の負担を軽減するバランシング・グループ

バランシング・グループとは、別名「代表契約者制度」と呼ばれます。

複数の新電力と大手電力会社(東電などのいわゆる地域電力会社)が1つの託送供給契約を結び、新電力間で代表契約者を選定する仕組みです。

複数の新電力が1つのグループのような形で大手電力会社と契約することで、新電力は大手電力会社に支払う料金などの負担を分散させることが可能。新電力の負担軽減は、言い換えればコスト軽減。結果的に、電気料金を安くすることにも繋がるのです。

では、そもそもなぜ、こうした仕組みが取り入れられるようになったのでしょうか。

安定供給に欠かせない同時同量とペナルティ

電気はその特性から、私たち消費者が使う量(需要量)と発電する量(供給量)を、一致させておく必要があります。

これを「同時同量(英語ではバランシング)」といいます。このバランスが崩れると電力が不安定になり、最悪の場合、大規模な停電が起こることも。同時同量を達成することは、私たちが安心して電気を利用するためにも必要不可欠なことなんです。

この同時同量、新電力の場合は30分単位で実施。瞬間的な同時同量は達成できなくても、30分間のトータルで考えたときに同時同量が達成できていればOKというわけです。

もし30分同時同量が達成できなかった場合は、一般送配電事業者(大手電力会社の送配電部門)が代わりに不足した電力を供給するといった対応を取ります。このとき、新電力には「インバランス料金」というペナルティが課せられます。

インバランス料金は30分ごとに、1kWhあたりの単価が決められています。単価は変動するため、夜間などは1kWhあたり9円以下程度になることもありますが、午後など時間帯によっては20円以上になることも。新電力にとって、このインバランス料金は大きな負担とも言えるのです。

バランシング・グループの場合、この30分同時同量をグループとして達成できればOKということになっています。グループ内の電力会社同士で協力・調整するので、グループの規模が大きいほど、負担は軽減されることになります。

グループの連帯責任となるもの・ならないもの

バランシング・グループではこれまで、インバランス料金をはじめとした全ての金銭債務に関して、グループに参加している全企業が連帯責任を負うこととなっていました。平成28年4月にこの仕組みは見直され、連帯責任となるもの・ならないものが定められています。

連帯責任となるもの

責任の範囲が特定できない金銭債務については、これまで同様、連帯責任を負うこととなっています。責任の範囲が特定できないものとしては、次のようなものがあります。

接続対称計画差対応電力料金

いわゆるインバランス料金のことで、同時同量を達成できない場合に発生する差分(インバランス)に対する料金です。計画よりも実際の需要量が多かった場合は供給不足になるので、電力会社が不足分を供給。逆に、計画よりも少なかった場合は余剰となるため、電力会社が余剰分を購入する仕組みになっています。

給電指令時補給電力料金

私たちが安心して電気を利用するためには、需給バランスを保つために発電所の稼働や停止など、電力ネットワークを上手にコントロールすることが重要です。電力ネットワークをコントロールするための指令を「給電指令」と言います。

大規模な災害が発生した際などには、この給電指令により新電力に不足電力が発生する可能性も。給電指令によって電力が不足した場合は、平常時のようにインバランス料金ではなく、給電指令時補給電力料金が採用されます。

このほか、上記2つの料金に関する延滞利息や保証金についても、グループ内で連帯責任を負うこととなっています。グループとして30分同時同量を達成すれば良いということになっているため、達成できなかった場合はグループとして責任を取るのは当たり前、かもしれませんね。

連帯責任とならないもの

逆に、責任の範囲が特定できる金銭債務に関しては、各契約者(一般電気小売事業者)単位で責任を負うこととなっています。

接続送電サービス料金

送電網を利用して各需要場所まで電気を送り届けるサービスにかかる料金です。

送電網は一般送配電事業者(現在は大手電力会社の送配電部門が該当)が管理・運営しています。そのため、新電力はこのサービスを利用しなければ、需要家まで電気を送り届けることができません。

臨時接続送電サービス料金

こちらは、契約使用期間が1年未満の場合に適用される接続送電サービスの料金です。通常の接続送電サービスとは別の料金設定となっています。

予備送電サービス料金

電線には、通常使用する本線が切れたりして使えなくなった場合に備え、予備電線路が準備されています。この予備電線路を使用する場合にかかる料金です。

このほか、送電サービスを利用するのに必要な工事費負担金や、延滞利息、保証金、違約金などは連帯責任とならず、該当する契約者が負担することとなっています。電線などは誰が使っているのかがはっきり分かるため、連帯責任にはなっていないというわけです。

電気料金を抑えることにも繋がるバランシング・グループ

バランシング・グループは、電気小売事業者の負担軽減につながる仕組み。電力事業に新規参入した事業者にとって、同時同量やインバランスなどのリスクを軽減してくれる心強い制度です。

電気小売事業者の負担軽減は電気料金にも反映されるため、私たち消費者にとってもメリットのあるバランシング・グループ。この仕組みが大いに活用されることを願うばかりです。