電力自由化を機に、一般家庭へ電気の販売をスタートしたイーレックス・スパーク・マーケティング(e-rex)。あまり耳にしたことがない会社ですが、どんなプランやサービスがあるのでしょうか。メリットやデメリットも含め、詳しく見ていきましょう。

e-rexはこんな会社

e-rexは1999年に創業した、電力事業者です。2001年、既に自由化されていた大規模工場などの需要家に向けて、電力の販売をスタート。地方自治体の施設や病院など、7,000施設を超える供給実績を持つ、業界トップクラスの企業となっています。

実は身近な場所に電気を供給しているe-rex。あなたも、e-rexが電気を供給している施設を利用したことがあるかもしれません。

自社で発電設備を設置している

e-rexでは電気を販売するだけでなく、自社で発電設備を設置し、発電も行っています。

現在稼働しているのは、高知県にあるバイオマス発電所。こちらは2013年から稼働しています。さらに、2016年秋には大分県で2つ目になるバイオマス発電所も立ち上げ予定となっています。

このバイオマスは、再生可能エネルギーの1つ。e-rexでは、環境に優しい再生可能エネルギーを利用した電源の開発を進めています。

この自社設備のほかに、環境負荷が比較的小さいLNG火力発電所などと契約。また、工場などの余剰電力を買い取る形でも電気を調達。継続的に安定した電力を供給するためにも、様々な電源を確保しています。

e-rexの供給エリアは?

e-rexでは現在、東北、関東、中部、近畿、中国、九州の各エリアに電気を供給。今後、エリア外となっている北海道や北陸、四国、沖縄といった地域にも供給できるよう、電源の確保が進められています。

e-rexの料金プラン

e-rexでは地域や電気の使い方によって異なる料金プランを打ち出しています。

1.東北、関東、中部、九州向けメニュー

メニュー①地域電力会社の従量電灯Bの場合

時間帯や曜日に関係なく、電気使用量に応じた料金設定となっているプランです。契約電流は10A、15A、20A、30A、40A、50A、60Aから選べます。ただし、東北と九州では20A以下については対応を検討中となっています。

【東北ほか料金1】
単位東北エリア関東エリア中部エリア九州エリア
基本料金10A1契約につき279.40円278.27円
15A419.10円417.41円
20A558.80円556.54円
30A972.00円838.20円834.81円871.29円
40A1,296.00円1,117.60円1,113.08円1,161.72円
50A1,620.00円1,397.00円1,391.35円1,452.15円
60A1,944.00円1,676.40円1,669.62円1,742.58円
電力量料金1~120kWh1kWhにつき18.24円19.35円20.60円17.13円
121kWh
~300kWh
24.77円24.36円24.08円22.18円
301kWh~27.60円27.24円25.59円23.27円

メニュー②地域電力会社の従量電灯Cの場合

電化製品などが多い家庭や商店向けのプラン。こちらも、時間帯や曜日に関係なく、電気使用量に応じた料金設定となっています。契約容量は6kVA以上です。

【東北ほか料金2】
東北エリア関東エリア中部エリア九州エリア
基本料金1kVAにつき324.00円279.40円278.27円290.43円
電力量料金1~120kWh1kWhにつき18.24円19.35円20.60円17.13円
121kWh
~300kWh
24.77円24.36円24.08円22.18円
301kWh~27.60円27.24円25.59円23.27円

2.近畿、中国エリア向けメニュー

①地域電力会社の従量電灯Aの場合

このプランも、曜日や時間帯に関係なく、電気使用量に応じた料金設定となっているもの。契約容量は6kVA未満です。

【近畿ほか料金1】
単位近畿エリア中国エリア
基本料金初めの15kWhは含まれる1契約につき373.73円330.26円
電力量料金16~120kWh1kWhにつき22.83円20.34円
121kWh
~300kWh
28.09円26.66円
301kWh~28.66円27.24円

②地域電力会社の従量電灯Bの場合

電化製品などが多い家庭や商店向けのプランです。契約容量は6kVA以上となっています。

【近畿ほか料金2】
近畿エリア中国エリア
基本料金1kVAにつき369.36円387.61円
電力量料金1~120kWh1kWhにつき20.47円17.70円
121kWh
~300kWh
21.04円23.21円
301kWh~24.08円23.48円

料金は地域電力会社と比較して安くなっている

e-rexでは地域電力会社の料金プランと比較しても、安い料金設定となっています。

例えば、関東エリアの料金と東京電力のプランを比較した場合。基本料金も電力量料金も、ともに安くなっています。電力量料金については、使用量が増えるほど単価もよりお得になります。

近畿エリアと関西電力のプランの比較では、基本料金や120kWhまでの電力量料金はほとんど同じ。120kWhを超える電力量料金に関して、地域電力会社よりも安い料金設定となっています。

安さの秘密は「自社発電設備」と「余剰電力買取」

なぜ、e-rexでは電気料金を安く抑えられるのでしょうか。

まず、自社で発電設備を持っていることが理由として挙げられます。e-rexではバイオマス発電所を所有。他社から買取るだけでなく自社でも発電しているため、コストを抑えることが可能となっているのです。

また、工場などの余剰電力を買取る方法でも電気を調達。工場などの余剰電力は、一般住宅から買取る場合と比べて安く電気を買取ることができます。このように、様々なところからバランスよく電気を調達することで、電気代を安く抑えることができているというわけです。

このほかにも、人件費や広告費をはじめとした経費の無駄を削減することにも力を入れています。

e-rexに乗り換えるメリット

e-rexでは地域電力会社と比べて、料金が安く設定されています。そのため、乗り換えるメリットとしては、やはり電気代が安くなるという点が挙げられます。

新電力の中には、電気をあまり使わない人が乗り換えた場合、従来よりも割高になってしまうようなものもあります。e-rexの場合は基本料金、電力量料金ともに地域電力会社より安くなっているので、そういった心配はありません。

一部、東北と九州エリアでは契約電流の大きさによって契約できない場合があるものの、使用量が少なくても乗り換えた方がお得に。もちろん、電気を多く使う家庭ほどお得度は高くなります。

使用量によらず乗り換えて多少なりともお得になるのは、e-rexのメリットです。

e-rexのデメリットは?

e-rexのデメリットとしては、電気代以外のサービスなどがないことが挙げられます。

自由化で新しく参入した企業はもちろん、自由化により地域電力会社でも様々なサービスの提供をスタート。ポイントの導入や既存サービスとのセット割などが主なサービスです。

e-rexの場合、確かに電気代は安くなります。しかし、ポイントがついたり、暮らし全体がお得になるようなサービスは今のところなし。この部分については今後に期待したいところです。

e-rexに申し込みたい場合はどうする?

e-rexの電気を契約したい場合、申込みの大まかな流れは次の通りです。

1.インターネットか電話で申込む

2.申込みが完了するとe-rexから申込用紙が届くので、必要事項を記入し、返送

3.申込用紙が受理されると、e-rexの方で切替手続きが行われる

4.手続完了後、e-rexの電気が使えるようになる

最初にインターネットか電話で申込む際、手元に電力会社からの検針票を準備しておいてくださいね。

なお、電気料金の支払いにはクレジットカードか口座振替が利用できます。

電気は安くなるけれど、他のサービスにも期待したい

今回、e-rexの電気について料金プランなどを見てみました。電気料金は地域電力会社と比べても安くなっているので、電気料金の節約にはもってこいの電力会社だと言えます。

その一方で、料金以外のサービスに関しては、まだ検討の余地がありそう。私たちにとって、電力自由化は電気代だけでなく、暮らし全体を豊かにするチャンスでもあります。これからどんなサービスを打ち出してくるのか、注目しておきたい新電力です。