託送のイメージ
電力自由化がスタートしたことで、私たちは電力会社を自由に選べるようになりました。乗り換えるからには、少しでも電気代を安くしたい! と考える人も多いでしょう。でも、誰もが同じように電気代を抑えられるわけではないんです。その理由とは・・・?

お得になる家庭

電力自由化による乗り換えで、電気代がお得になる可能性があるのはズバリ! 電気を多く使う家庭です。一定量以上の電気を利用すると割引が適用になるようなプランも、多く発表されています。こういったプランを利用することで、これまでよりもお得に電気を利用できるようになるというわけです。

お得にならない家庭

逆に、電気をあまり使わない家庭がお得になるようなプランは、実はほとんどありません。それどころか、一定量までは電力使用量に関わらず定額になるなど、乗り換えることで割高になることも。

電力使用量が少ない家庭は、電力自由化による料金面での恩恵が受けにくいというのが現状なのです。

電力使用量によって違いが出る理由とは

ではなぜ、電気をあまり使わない家庭にはメリットが少なく、電気を多く使う家庭の方がお得になるのでしょうか。実はこれには、ちゃんとした理由があるんです。

託送料金って?

あなたは、託送料金という言葉を聞いたことがありますか?「初めて聞いた! 」という人も多いかもしれません。私も最近知ったといううちの一人。この託送料金こそ、電力使用量によってお得になるかどうか、違いが出る原因の一つなんです。

託送料金=送電網の利用料金

発電所で発電された電気は、送電網を通って私たちの家に届きます。この送電網、維持管理などにも費用がかかるため、もちろんタダでは利用できません。この送電網の利用料金こそ、託送料金と呼ばれるものなのです。

現在、送電網を管理しているのは東京電力などのいわゆる地域電力会社。地域電力会社以外の電力会社、つまり新電力は、地域電力会社から送電網を借りているんですね。

だからといって、託送料金を負担しているのは新電力だけというわけではありません。地域電力会社も新電力と同様に、電気の販売量に応じた託送料金を負担しています。そして、その料金は私たちの支払う電気料金にも大きく関係しているのです。
【託送料金】

 託送料金
北海道8.76円
東北9.71円
東京8.57円
中部9.01円
北陸7.81円
関西7.81円
中国8.29円
四国8.61円
九州8.30円
沖縄9.93円

表のとおり、託送料金は地域によって異なります。これは、地域によって送電線の維持管理にかかる費用が異なるため。

例えば、最も料金が高い沖縄電力管内の場合。沖縄には離島もたくさんあります。電気は私たちの暮らしに欠かせないものなので、誰もが安心して利用できなければ困りますよね。つまり、沖縄電力にはそういった離島部にも電気をきちんと届けるという義務があるのです。そうなると、どうしても他のエリアに比べて送電線の維持管理にコストがかかってしまいますよね。

また、託送料金は地域電力会社からの申請に基づいて決まります。もちろん、最終的には国が決定するものなので不当に高額になることはありません。しかし、託送料金が高くなればその分電気料金も高くなる・・・それが託送料金なのです。

使用量によって単価が異なる電力量料金

ここで、いくつかの電力会社の電力量料金について見てみましょう。

電力量料金の多くは、使用量に応じた段階制の料金体系となっています。これは、電気が私たちの暮らしに欠かせないものだからこそ。経済状況に関わらず誰もが最低限の電気を利用できるように、ということで設定されているんです。

例えば、東京電力の場合。新料金プランであるスタンダードプランでは、電力使用量に応じて2段階で料金が設定されています。1kWhあたりの料金は、300kWhまでが23.40円、300kWhを超える分については30.02円です。

auや東京ガスの場合は3段階の料金設定。まずauについては、120kWhまでが19.51円、120kWhを超え300kWhまでが25.99円、300kWhを超える分については30.01円となっています。東京ガスの場合は、140kWhまでが23.24円、140kWhを超え350kWhまでが25.99円、350kWhを超える分については25.93円です。
【電力量料金】

電力会社使用量電力量料金
(1kWhあたり)
東京電力300kWhまで23.40円
300kWh超分30.02円
au120kWhまで19.51円
120kWh超
300kWhまで
25.99円
300kWh超分30.01円
東京ガス140kWhまで23.24円
140kWh超
350kWhまで
25.99円
350kWh超分25.93円

一方の託送料金ですが、電力使用量によって金額が変わるものではありません。使用量に関わらず、一定の金額です。

実はここに、電力使用量の違いによってお得になるか割高になるか、その原因の一つがあるんです!

電力使用量が多いほど、電力会社が儲かる!?

託送料金は、電力使用量に関係なく一定の料金。つまり、1か月間に200kWhしか利用しない家庭も、600kWh利用する家庭も、東京電力管内であれば同じように1kWhあたり8.57円が託送料金となるんですね。

そうなると、1kWhあたりの電力量料金のうち、託送料金が占める割合が変わってきます。具体的にはどれくらいになるのか、先ほど例として挙げた3社の場合を見てみましょう。
【電力量料金と託送料金】

電力会社 電力量料金
(1kWhあたり)
託送料金
の割合
東京電力300kWhまで23.40円37%
300kWh超分30.02円29%
au120kWhまで19.51円44%
120kWh超
300kWhまで
25.99円33%
300kWh超分30.01円29%
東京ガス140kWhまで23.24円37%
140kWh超
350kWhまで
25.99円37%
350kWh超分25.93円37%

表を見ても分かりますが、電力量料金の段階が上がるほど、電力量料金に占める託送料金の割合が小さくなっています。つまり、電力会社にとっては電気をより多く使う顧客を増やした方が、自分たちのマージンも増えるというわけです。
【具体例】
 200kWhの場合600kWhの場合
電力量料金4,680円16,026円
うち、託送料金1,714円5,142円
電力量料金-託送料金2,966円10,884円
マージン率63%68%

具体例として、東京電力の場合を挙げました。200kWhの場合は自社のマージンはおよそ63%、一方で600kWhの場合はおよそ68%と、5%もアップ! 電気をたくさん使ってもらうほど、自社のマージンは増えていくわけです。

なお、この数値はあくまでも電力量料金のみの値なので、実際の電気料金とは異なります。

電気料金以外にもメリットがある

ここまで見てみると、なぜ、電気を多く使う家庭ほどお得になるのか、その理由が分かりますよね。電気をたくさん使う人だけが得をして、あまり電気を使わない人にメリットがないのは不公平だと思うかもしれません。

でも、電力会社を選ぶポイントは、何も料金面だけではありません。他のサービスとのセット割やポイント制度、いろいろなサービスの提供など、これまでにはなかった「おまけ」のようなサービスがたくさん生まれています。そういった面に目を向けることで、電気をあまり使わないあなたでも、電力自由化の恩恵を受けることはできます。

ポイントサービスについてはこちらも参考に
電気代でポイントがもらえる! 電力自由化とポイントサービス

セット割やサービスについてはこちらも参考に
価格だけじゃない! 新電力はサービスとセット割で選ぶ

もちろん、電力会社の中には、電気をあまり使わない家庭でもお得になる料金プランを設定しているところも。積極的に情報収集して、電力自由化でお得な毎日を送ってくださいね。